皆さまの会社では、地域の発展はどのようにお考えでしょうか?
「自社のことが手一杯で地域のことなど考えている余裕はない!」とか、「地域の発展が自社にとって何かメリットがあるのか?」などとお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、地域の発展と企業の発展は、多くの場合において切っても切り離せないものであると言えます!
第一に、「企業の発展」はそれだけで「地域の発展」につながります。
ところで、地域が発展するとはどのような状態でしょうか?
人によっていろいろなイメージがあるかと思いますが、ここでは「この街に住みたい」と思う人(定住人口)あるいは「この街を訪れたい」と思う人(交流人口)が増えることである、と考えます。
この街に住みたい、と思うことと企業の活動とは一見あまり関係ないようにも思えますが、そんなことはありません。
魅力的な小売業やサービス業のお店が多く存在することは、それだけで住みたい、あるいは訪れたいという動機づけになりますが、製造業や建設業でも、その会社が発展して「その街で雇用を生み出す」ことは「近くで働く場所」ができることですので、住みたいという人が増えます。
ベッドタウンなどでは、都心に働きに出る人が多いから、その地域に職場があっても意味がないと思われるかもしれませんが、「多様な働き方」が広がるこのご時世、多少条件は悪くても「通勤時間が短くなる」ことにメリットを感じる人は多いです。
その背景には、「満員電車通勤疲れ」であったり、「子供や家族との時間を少しでも長く取りたい」といった動機があります。
そして第二に、「地域の発展」が「企業の発展」につながる、ということが言えます。
この街に住みたいと思う人や、この街を訪れたいという人が増えれば、小売業やサービス業であれば、直接売上の増加が見込めます。
製造業や建設業など、他の業種の場合はどうでしょうか。
一見、あまり関係なさそうに見えるかもしれませんが、近年では人手不足が進行しているため、「魅力的な街」に立地している方が人材確保には有利です。
住んでいる人が増えれば、その中には前述のように近くで働きたいという人もいるでしょうから、採用の機会は増えます。
また、「訪れたい街」になることも、例えば職場の近くに魅力的な飲食店や施設があり、仕事帰りに寄ることが出来たり、街の知名度が上がって求人に有利に働くことがあります。
そして何より、「職場のある街」に対して誇りを持つことができますので、ここで働き続けるという動機が強まります。
とはいえ、地域の発展は個々の企業の活動だけではなかなか成し得ません。
地域の魅力を高めるためには、その地域の多くの企業が連携して「まちづくり」に取り組む必要があります。
まず、「この街に住みたい」「この街を訪れたい」と思うためには、それだけの街の特徴が不可欠です。
子育てがしやすいとか、交通が便利という条件も重要ですが、それだけでは他の街がもっと便利になったときに、長期的には相対的な魅力が減少してしまいます。
それに、立地するお店や施設が、どこの街にもあるようなチェーン店やショッピングセンターだけでは、同じような街が乱立するだけで、面白くありません。
何か、「●●ならA市」(例えば、せんべいなら草加、牛タンなら仙台、餃子なら宇都宮などが有名でしょうか)というような、その街を特徴づける名物や名所などがあることが望ましいです。
さらには、その名物や名所をブランディングし、知名度を上げていくことも考えなければなりません。
そして、街として住んで楽しい、訪れて楽しい場所であるためには、店舗立地のバランスは重要です。
例えば、個性的なグッズを売る店が多く、買い物は楽しい街だとしても、休憩する場所がなく休みの日に遊びに行くには難がある、という街は近年よく見られます。
こういう街は、ショップだけではなくカフェなどの飲食店や、憩いの場となるような施設があると魅力が一気に高まります。
また、シャッターの閉まったお店やマンションなどが増えて、お店がまばらになっているような商店街では、特定のお店を訪れることはあっても複数のお店を回る、という行動にはなかなかつながりません。
こういった場合、空き店舗をチャレンジショップとして活用するような仕組みがあると、店舗の密度が高まり、いろいろなお店を巡る楽しさが生まれます。
こういった名物や名所を生み出すための仕組み作りや、店舗立地のバランスを調整する仕組みは、行政など公的機関の役割が多いのですが、民間主導でできることもあります。
そのための仕組みとして、既存のものでも商店会・商店街振興組合や商工会・商工会議所、中小企業家同友会などがあります。
また、行政などの力を借りつつ、有志で「地域発展のための市民活動」をおこなうグループを作るのもよいかもしれません。
地域の発展とは、その街に住んで、あるいはその街で働くことに誇りを持てる、ということです。
つまり、その地域に愛着を持てるということであり、そういう人が増えれば素敵な社会になるのではないでしょうか。
自社の発展にもつながる地域の発展のための取り組み、出来ることから始めてみませんか?