「経営者の仕事」とは?大きな方向性を示すだけ? ワクワク経営コラム【第202回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

さて、皆さまは「経営者の仕事」って何だと思いますか?

素晴らしい商品を作ることでしょうか?
人脈を広げたり情報発信したりして、商品をたくさん売ることでしょうか?
お金の管理をすることでしょうか?
それとも、人を育てることでしょうか?

どれも、会社にとって必要なことですが、本来の「経営者の仕事」ではないですよね。
いずれも、従業員でもできることですし、全て経営者がやってしまっては生産性も上がらず、人財も育ちません。
(参考:「何でもできちゃう人」が陥りやすい落とし穴とは!?
そう考えると、「人を育てる」ことは経営者の役割のような気がしますが、幹部である役員や人事部が人を育てることができる組織のほうが、経営者だけが人を育てる組織よりも進化のスピードは速いですよね。
これには、人を育てることを通して自分も育つという意味合いもあります。
(後述しますが、これらのことを経営者が「やってはいけない」ということではありません)

では、本来の「経営者の仕事」って何でしょうか?

よく言われるのは、「経営者は大きな方向性を示すのみで、実際の業務は部下がおこなう」というものがあります。
これは半分正解です。
大きな方向性を示すことは経営者の仕事ですし、実際の業務は従業員に任せたほうが良いのは事実です。
しかし、「経営者の仕事」としては、これだけでは不十分です。
大きな方向性だけ示して、それができなかったら部下の責任、というわけにはいかないのです。

経営者のもう一つの仕事は、「仕組みを作る」ことです。
実際の業務は従業員が行うとして、それができる、それによって会社が理念を実現し、経営を継続していくことができる仕組みを作ることは経営者の仕事です。
すなわち、経営者の仕事は「大きな方向性を示す」ことと、「仕組みを作る」ことの2つであると言えます。

このような話に対し、「仕組みを作ることは従業員でもできるのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、細かい業務やビジネスの仕組みは、従業員でも作ることができるでしょうし、そういった部分は従業員に任せた方がいいことも多いです。
経営者が作るのは、もっと大きな「仕組み」です。
すなわち、幹部社員が「従業員がビジネスの仕組みを作る」ことができる仕組みを作るのであれは、経営者は幹部社員がそれをできるようにする仕組みをつくるということです。
では、経営者がそれをできるようにする仕組みを作るのは誰か?
それは、「経営者自身」でしかありません。
ワクワク経営ナビゲーターのような支援者も、その仕組みづくりを手伝うことはできますが、その仕組みを作る主体者は経営者自身なのです。
したがって、まずは自分自身がワクワクしながら続けていくことができる仕組みを作り、そして「仕組み」を作る幹部が機能する仕組みを作る必要があります。

とはいえ、では経営者が「経営者の仕事」だけすればよいかというと、そうではないこともあります。
規模が小さい組織であれば、どうしてもプレイングマネージャーとして動く必要もありますし、会社の信用を確固たるものにするためには経営者自身が率先して対外的な活動をおこなうことが重要である場合もあります。
また、従業員が業務の仕組みを作るにあたって、まずは経営者が「お手本を見せる」ことも必要になるかもしれません。
そのためには、最初はあらゆる業務を経営者自身がおこない、その上で業務の仕組みを作って見せるということは、決して無駄ではありません。
その上で、実際の業務や業務の仕組みづくりを徐々に部下に任せ、経営者は「経営者の仕事」に集中できるようにするというのが目指すべきところです。

さらに、全ての経営者が「経営者の仕事」だけをするのが理想か?というと、これは必ずしもそうとは限りません。
それは、経営者にとって経営は「自分の人生」をワクワクさせるためのものでもある、ということを考えると分かります。
確かに、「経営者の仕事」を通して自らの理想を実現することはワクワクすることです。
しかし、同時に実際の業務をおこなうことも好きという経営者は多いのではないでしょうか。
会社の儲けの効率を考えると、経営者は経営者の仕事に専念したほうがいいようにも思えますが、先述したように経営者は「経営者自身がワクワク仕事を続けられる仕組み」も作らなくてはいけません。
経営者が実際の業務ばかりおこなって「経営者の仕事」ができないようでは困りますが、「経営者の仕事」をした上で一部実際の業務もおこなうことは、「仕組みを作る」上での情報収集にもなりますし、決して無駄とは言えないでしょう。

是非、経営者は、大きな方向性を示すことと、みんなが仕組みを作ることのできる「仕組み」を作ることを意識しましょう!

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