魔王は一人とは限らない!?「同時進行理論」 ワクワク経営コラム【第160回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

冒険の世界で、本当の目的を実現するためには、様々な課題をクリアする必要があります。
例えば、世界を平和にすることが目的であれば、魔王を倒すというのが大きな目標になっていることが多いです。
世界を支配しようとしている魔王が平和を乱しており、魔王を倒せば平和になるということであれば、「魔王を倒すにはどうしたらいいか」だけを考えればいいですよね。
その魔王を倒すために、様々な武器やアイテム、技の習得が必要となり、そのために冒険をするということはよくあります。

しかしながら、実際はそんなに単純ではないことも多いです。
魔王さえいなければ世界は平和であるというのは「思い込み」であり、他にも平和を阻害している要因があるかもしれません。
つまり、「平和な世界」実現のための課題が「魔王の存在」だけではないということです。
ゲームなどでは分かりやすくラスボスが設定されており、ラスボスを倒すことで世界に平和を取り戻すとなっていることが多いですが、よく考えてみるとそれで本当に平和が実現されるかは分かりません。

場合によっては、複数の「魔王」が同時に世界征服しようとしているということもあります。
このような場合、全ての魔王を倒せばよいということになりますが、それぞれの魔王を倒すために長い旅が必要で、順番に倒していたらその間に世界を征服されてしまうということも考えられます。
もしかすると、それぞれの魔王を倒すための「勇者」や「冒険者」のパーティーが、同時に別の魔王を討伐するために冒険しているのかもしれません。

現実の経営に当てはめるとどうでしょうか。
経営の最終目的である経営ビジョンを実現するために、何らかの価値や商品を生み出して社会に提供するのが企業活動ですが、それだけでビジョンを実現できるでしょうか。
例えば、「豊かな食生活の実現」という経営ビジョンであったとして、それを実現するには、「食事」そのものだけではなく、食事環境や食器、物流といった様々な機能が必要となりますし、周辺に目を向ければそもそも「健康」や「安全安心なまちづくり」なども前提として必要なことだとも言えます。
したがって、一つの課題だけを取ってみても、全て自社だけで解決できることは多くありません。
自社はその中で一部の機能を担い、商品や価値を提供していくことになります。
そして、その課題に対して、様々な面から様々な企業が、様々な価値を提供することで、社会全体として課題の解決に近づいていきます。

これはSDGsにも通じる部分があります。
持続可能な社会のためには、環境、社会、経済といった様々な面から課題に取り組む必要がありますし、その中でもさらに17の目標が定められています。
もちろん、その全てに取り組まなければいけないというわけではありませんし、その課題を解決するための一分野に集中したほうが通常は効率的です。
しかし、その部分だけしか見ていないと、他の部分について疎かになり、場合によっては全体としてマイナスになってしまうこともあり得ます。
自社が集中的に取り組む事業領域は定めるとしても、ビジョン実現のために何が必要かは常に俯瞰して把握しておく必要がありますね。(参照:木を見て森を見ず理論

一つの目標に囚われることなく、「同時進行」で目的実現に近づきましょう!

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