1日に何匹の魔物を倒したらいい?「損益分岐点」 ワクワク経営コラム【第33回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

今夜も宿屋で、パーティーの仲間で話し合いをしています。
旅芸人「今やってる魔物退治の依頼さ、あんまりお金稼げてないけどどう思う?」
僧侶「魔物を1匹退治するごとに5Gの報酬で、今日は20匹倒したから100Gの報酬をもらいました。宿代は80Gだから、20Gはプラスですね」
戦士「でも武器も消耗しているし、100匹ごとに1回は買い換えないと持たないぞ。それに薬草も消費してるな。今日は10個使ったから、2匹で1個ってとこか?」
魔法使い「確かに、このペースで続けてたらマイナスね」
武闘家「よく分かんないけど、もっとたくさん魔物倒したらいいんじゃねえか?」
戦士「戦う魔物を増やしたら、武器の消耗も早くなるし、薬草の消費も多くなるぞ」
旅芸人「魔物を多く倒しても、宿代は変わらないから、1日で多くの魔物を倒したほうがいいのは間違いなさそうだね。じゃあ、1日で何匹の魔物を倒したらいいか考えてみよう」

さて、このパーティーは、今お金を稼げている状態でしょうか?

武器は1本50G、薬草は1個2Gです。

現状の1日20匹だと、武器は5日に1回買い換える必要があるので、5日で考えてみましょう。
5日で100匹の魔物を倒せるので、報酬は500Gです。
宿代は5日で400Gかかりますね。
薬草は2匹で1個、100匹で50個使うので100Gです。
武器を1本買い換えると50Gかかります。
宿代、薬草、武器代で550Gかかっているので、50Gのマイナスですね。

旅芸人「今のままだと、続けても稼げないどころかマイナスだね。じゃあ、1日で何匹の魔物を倒したら稼げるかな?」
武闘家「5日で550Gの費用がかかってるから、5日で110匹、1日22匹以上倒せばいいんだな!」
戦士「でも待てよ。それだと薬草代も増えるし、武器だって5日は持たないぞ」
魔法使い「じゃあ、魔物1匹倒すのにいくらかかるのか考えてみましょうよ」
僧侶「魔物1匹だと、薬草代は0.5個で1G。武器は100匹で50Gだから、1匹で0.5Gですね。宿代は・・・20匹で80Gだから、4Gでしょうか?」
魔法使い「それだと、魔物1匹あたり5.5Gかかるから、いくら倒しても稼げないわよ」
旅芸人「宿代は、1日に何匹魔物を倒しても変わりませんから、魔物を多く倒せば1匹あたりの宿代は安くなるね。宿代は別で考えたほうが良さそうだね」

旅芸人が言うように、宿代は別で考えてみましょう。
経営では、このようにどれだけ魔物を倒しても(商品を売っても)変わらない費用のことを「固定費」と言います。
一方、薬草代や武器代のように、倒した魔物の数に比例してかかる費用を「変動費」と言います。
魔物1匹あたりの変動費は、武器と薬草で1.5Gです。
魔物を1匹退治するごとに5Gの報酬がもらえるので、宿代を別にすれば、1匹あたり3.5Gの「利益」が出ます。
これは、まだ宿代を引いていないので最終的な利益ではないですが、この1匹ごとにどれだけ利益が増えるか、1個商品を売るごとにどれだけ利益が出るかを「限界利益」と言います。
これは、商品1個当たりの単価から、商品1個にかかる変動費を引いたものです。

さて、ではこのパーティーは、1日で魔物を何匹倒せば稼げるでしょうか?

旅芸人「宿代以外で1匹あたり3.5G稼げるから、1日で宿代の80G以上稼げればプラスになるね」
戦士「22匹だと77Gだから、3G足りないぞ」
魔法使い「23匹なら、80.5Gになるからプラスになるわね」
武闘家「そっか、あと3匹ならなんとかなりそうだな」

このように、1日で23匹以上の魔物を倒せば、このパーティーは儲かることがわかりました。
これを経営で考えると、1か月あたり、1年あたりの「固定費」を、商品1個当たりの「限界利益」で割れば、その期間で商品を何個売れば利益が出るかが分かります。
これを損益分岐点と言います。

僧侶「でも、23匹だと1日0.5Gしか稼げない計算ですね。これだと次の冒険への出発がいつになるか・・・」
旅芸人「そうだね。じゃあ、1日で40G以上稼ぐには、1日で何匹倒したらいいか考えてみよう!」
武闘家「うへえ、かなり頑張らないと難しそうだなぁ」

さて、このパーティーが1日で40G以上稼ぐには、1日で何匹の魔物を倒したらいいでしょうか?
是非、考えてみてくださいね(^-^)

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