人間じゃないとできない仕事をしよう!「労働生産性」 ワクワク経営コラム【第35回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

冒険の途中に立ち寄ったある町でのことです。
武器屋「やあ、冒険者パーティーだね。今イチオシの新商品があるんだ。『癒しの杖』といって、魔力を消費しなくても、誰でも体力を回復できるようになる。買わないかい?」
戦士「なんだって!?それはすごいな」
魔法使い「でも、うちのパーティーには僧侶がいるから、必要ないんじゃない?」
武闘家「そうだな、その杖があったら、僧侶の仕事なくなっちゃうな」
僧侶「もしかして私はクビですか?そんなぁ。。。」
旅芸人「いや、一緒に冒険をしている仲間なんだ。いきなりクビなんてことはないよ。それより、『癒しの杖』を買ったほうがいいのかどうか、考えてみよう!」

『癒しの杖』は魔力を消費しなくても、誰でも体力を回復できる、便利なアイテムです。
しかし、買うには50Gかかり、5日で壊れます。
この杖があれば、僧侶の回復の仕事は必要なくなります。

旅芸人「1日に稼げるお金は100G。宿代その他で20Gかかるから、残りは80Gだ。5人パーティーだから、1人16Gの稼ぎだね」
魔法使い「この杖を買った場合・・・杖代が5日で50Gだから1日10Gとして、パーティーの稼ぎは70Gね。5人だと1人14Gだけど、でも僧侶以外の4人で割ったら、1人あたり17.5Gになるわ」
僧侶「やっぱり私は必要ないんですね(泣)」
旅芸人「いや、お金を稼ぐことだけが目的じゃないし、パーティー全体の稼ぎは杖を買わないほうが多いんだ。」
武闘家「じゃあ、杖は買わないことにするかい?」
旅芸人「いや、もっといい案があるよ(ニヤリ)」

この話は、経営で言うところの「労働生産性」の話です。
売上から、仕入や費用などの「外部への支払い」を引いたものを「付加価値額」といい、このパーティーの全体の稼ぎに相当します。
この付加価値額を、従業員数や総労働時間など「労働投入量」で割ったのが「労働生産性」です。
業務を効率化したり商品を見直したりすることで、「労働1時間あたり」の「稼ぎ」が増えることになるため、労働生産性は大事な指標です。
それに、1時間あたりの稼ぎのうち人件費に分配したものが「時給」なので、労働生産性が高まればみんなの時給を上げることができます。
しかし、このパーティーのように、効率化した結果「必要のない」人が出てきて、リストラすることがよいことなのでしょうか?

それでは、旅芸人の「いい案」とは何でしょうか?

戦士「僧侶に『攻撃力アップ』の魔法をかけてもらうようになってから、戦闘の効率が上がったな!」
魔法使い「このペースなら1日150Gは稼げるわね♪」
僧侶「しかし、この『攻撃力アップ』の魔法は魔力の消費が激しいので、毎日魔力回復所で10Gかけて回復してもらう必要があります」
武闘家「結局、杖を買って戦い方を変えたらどうなったんだ?」
旅芸人「1日の収入が150Gになったから、今までの費用20Gと杖の費用10G、魔力回復10Gとしても、残りが110G。5人で割っても22G。だいぶ増えただろう?」
僧侶「この杖がなかったら、回復魔法で忙しくて、『攻撃力アップ』を使った戦い方はできなかったですからね」
武闘家「そうか、じゃあ杖を買って正解だったんだな!」

このように、僧侶には「新しい仕事」をしてもらうことで、結果的にパーティーの「労働生産性」は上がりました。
現実の経営でも同じことがあります。
IT技術やAIなど、技術革新が進み、人間の仕事が機械やコンピューターに置き換わり、「仕事がなくなってしまう」という心配の声もあります。
しかし、この例のように、杖にできることは杖に任せ、機械にできることは機械に任せ、人間は人間の得意なことをやったほうが生産性は上がります。
そして、手が空いた人はどんどん「新しい仕事」、新事業の仕事をしてもらえば会社としての業績も伸ばすことができ、経営ビジョンに近づくスピードも速くなります!

自分の能力が最も生かせる仕事をするために、機械にできることは機械に任せて、自分にしかできない仕事をしましょう!
そして、経営者の皆さんは、仲間たちの能力が最も活かせる仕組みをつくりましょう♪

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